ハンポ

gemgem08282006-01-07

眠い目こすって早朝家を出る。このままじゃどんどん深みにはまってく。やらなきゃいけないことはたくさんあるけど、今日はおもむくままに。体の芯まで沁みるような寒さが「生きてる」て教えてくれる。
途中千葉駅で本買って。内房線乗って九重に向かう。館山のもういっこ先。
窓辺にあったかいお茶置いて。がたがたいう窓枠で。隙間からぴゅうぴゅう吹き込む。額くっつけて外にらんでると振動が伝わる。きっと外は寒くて。みんな風をうけながら前にかがみながら歩いてく。きっとあたしが見てることしらない。聞いたこともない駅名がずらり。電車が停まるたびきょろきょろホームを探す。高い灰色の四角い建物は流れてって。気がぬけた黄土色みたいな色が一面広がる。すすきのかさかさした音も残り雪がじっとり溶けてく音も。ぱっとひらけた海はまさに創造。風に波打つ青の音。
ふと気付くとあたしだけ。振り返ると背を向けた車掌さん。ひょこっと首だしてみたら、4両だけの電車がまっすぐ、海と水平に走る。このまましらないとこにいく。
九重駅に着いたときはもうお昼で、途中トラブルもあって4時間半の旅でした。初めて降り立つ無人駅。池袋から130円で来ちゃってごめんなさい。
ここは彼の実家。時間がゆっくり流れる場所てこゆとこのこと言うんだろう。こたつに入ってお茶とみかん食べたら、あたしもうここで暮らしたい。ここにはあたしを知るのは彼だけ。そんなんでほっと肩を下ろす。
田んぼ、畑の間を通って、凍った地に滑らないように。小学校の中あったかくて。なつかしいニワトリのにおいと、みんなが植えたチューリップの球根。帰り道ずっとついてくる白い犬。戸の奥の方から探し出した古いゲームを汗かきながら必死でやって。近くの「チロル」てゆうレストランで、真っ暗な外見て、映る自分にも目をやる。
半分凍った誰もいないホームで電車待つ。自分の白い息がオリオン座をぼかす。帰りの電車、外は真っ暗で、あたしはもっともっと真っ暗な場所に運ばれる気がして泣いた。行きに買った重松清の「トワイライト」。「不幸」なストーリーにすくわれる。